大神神社のご祭神は大物主の神(おおものぬしのかみ)
日本古事記に「大和の青々とした三輪山の頂上に私を祀り、身を清めてお仕えせよと光る神は答えました」とあります。 この「光る神」とは何でしょう?
日本古事記より
その昔、大国主(おおくにぬし)の尊は 国造りに際して「少名彦那(すくなひこな)」の助けをかりて順調にすすんでおりましたが、ある日突然少名彦那が常世(とこよ)の国へと帰ってしまったのです。 さあ、大国主は大弱りです。 広い国土には、まだ発展途上のところがおおく残っているので、ここで国造りを中断するわけには行きません。 とそこで、突然:
「わたしの神霊を祀れば、国作りに力を貸そう。 さもなくば、国造りはうまくいかぬぞ」
という声が聞こえてきたのです。 振り返ると、まばゆい光に包まれて海の上を歩いて近寄ってくる神がおりました。 その白光はあまりにも強く、とても目を開けていられる状態ではありません。 大国主は、
ただびっくりして何も答えることが出来ませんでした。 すると光の中からもういちど声が聞こえました。
「わたしを大切に祀れ。 そうすれば助けてやろう」
大国主はどうしても助けが必要だったので、 「どのようにお祀りすればいいのでしょう?」 と問われました。 するとその光る神は、「大和の青々とした三輪山の頂上にわたしを祀り、身を清めてお仕えせよ。」
と答えられたのです。 この神は「大物主の神」で、今も人々から「みいさん(蛇)、みいさん(蛇)」と親しまれ、大和の国(奈良県)の「大神神社」に鎮まっておられます。 神社の背後にある「三輪山(みわさん)」の山頂には、古代信仰の祀り場である「石座(いしくら)」があり、山そのものをご神体「神奈備山(かんなびやま)」として大切にお祀りしているのです。
三輪の山がときどき光るとうわさされるのは、こういうわけがあるからでございます。
豊葦原の瑞穂の国
さて、大国主は言われたとおりに光る神「大物主」を三輪山に祀ると、中つ国(いまの日本)はみるみるうちに栄え、水は豊かに沸き、葦が生い茂り、稲はたわわに実り、豊作がつづいたのでございます。
このすばらしい風土を称え、中つ国(にほん)は「豊葦原の瑞穂の国(とよあしはらのみずほのくに)」とも呼ばれました。
以上
小林晴明、宮崎みどり著、サン・クリーン出版
「古事記のものがたり」
より